日本は欧米基準では「左翼的国家」である

アメリカのフォックスニュースでは、
アメリカは共産主義国の日本と戦争をやって勝利した』
などと発言しておりました。
 
「読み間違い」などとされて擁護される事もありますが、私は本音が現れたのではないかと思います。
欧米基準では日本人の伝統文化や価値観、感受性、歴史などは「左翼的」と見なされてもおかしくありません。
 
右翼か左翼か、保守か革新かというのは、それぞれの国々によって定義が異なります。
特に、
 
「世界共通で通用する保守思想」
 
などという便利な物は存在しません。
これが左翼ならば無理やり「世界共通思想」を押し付ける事が出来るのでしょうが。
そしてその結果、その国の国情に合わなくて大失敗し、国民が大量に殺される所までセットです。
 
日本神話は至って「平和的」です。
戦争らしい戦争は、神武東征に限られます。
出雲の国譲りは、一国が滅びるというにも関わらず至って平和的な出来事です。
 
そして皇祖神である天照大御神は「女性」であり、
女性が一国のトップに立っても誰も文句を言わないくらい「男女平等」でもありました。
 
更に、この天照大御神は決して「独裁者」ではなく、
何度も何度も広く周囲の意見を求めて決裁しております。
例えば出雲の国譲りに関して、
古事記では国譲り成功まで三度も使者を派遣し、
日本書紀では四度も派遣したと書いてありますが、
使者の人選を行ったのは周囲の神々であり、天照大御神は承認しただけに過ぎません。
 
天照大御神の弟神である素戔嗚命高天原にて大暴れした際には、天照大御神は天岩戸に逃げ込んでしまいます。
独裁的権力を持っている海外の神様であればこんな弟は殺してしまうはずなのに、
天照大御神はそのような処置も行わず、処罰は神々の合議に任せています。
 
また、天照大御神が天岩戸に逃げ込んでしまい困った神々は、
「皆平等に」話し合って、何とか天照大御神を岩戸から引きずり出そうと試みます。
神様の間で厳しい序列が存在する海外の神話ではあり得ない話なのです。
 
また、天照大御神は御自ら労働に勤しみ、一般人と同じく機織りを行っております。
この伝統は21世紀現在まで残っており、
今でも天皇・皇后両陛下は、田植えをやりますし、皇后陛下は機織りをやります。
「労働は苦しみ」などと考えているユダヤ・キリスト・イスラム教はもちろん、
海外の神話で最高神が一般人と同じような労働をするなどと言う事は考えられません。
 
ここまでは「神話」の話をしましたが、
その後の日本の歴史や文化を見ても、
海外の基準から言えば「左翼的」と見なされる事ばかりでしょう。
 
平安時代日本は世界最先端とも言うべきレベルで女性が活躍しておりました
小野小町や、清少納言紫式部和泉式部などが典型例です。
女性だけで和歌集が作れるくらいだったのです。
 
中国の儒教では厳然として女性差別がありましたし、
同時期のヨーロッパでも同様でした。
日本で女性が活躍していた頃、ヨーロッパでは魔女狩りが始まっていたのです。
 
この日本での女性尊重の流れは武家政権が成立してからも続いており、
鎌倉幕府は「女御家人」や「女地頭」を公認していました。
そもそも「尼将軍」と言われた北条政子が存在したくらいですし。
 
戦国時代にも「女城主」は何人も存在しており、
歴史ある名家でも女城主を認めた大名家も存在します。
東北の南部氏であったり、
九州の大友氏であったり、
東海地方の今川氏であったり、
織田信長ですら女城主を認めていました。
 
日本人であれば「当たり前」と感じる感覚が、海外の基準から見れば「左翼」と感じる物もあります。
 
同じ制服、同じ靴を着用して、
男は坊主で女はおかっぱというのは、
海外から見ると、
ヒトラーユーゲントかピオニールと同じじゃないか』
と受け止めます。
 
海外にも「制服」はあるにはありますが、
「義務」ではなく「推奨」です。
従わなくても罰則などありません。
(軍学校は別として)
 
体育祭などの組体操は、北朝鮮の「マスゲームと同様に見られています。
あんな教員の自己満足で命まで落とす行為は、世界からは異様に見られているのです。
 
海外の笑い話でも、
「皆がやってますよ」
と言えば日本人は従うと見透かされております。
この「皆がやってるから」という考え方もまた、左翼全体主義の発想と受け止められるのです。
 
このように、欧米基準で語るとするならば、日本は全体主義の左翼国家となってしまいます。
が、しかし、最初にも述べましたが、
「世界共通の保守思想」
などと言う物はこの世に有りません。
欧米基準で保守ではないからと言って、「だから何だ」というべき話です。
何事も欧米を基準にしないと気が済まない人にとっては大問題なのでしょうが、
日本には日本固有の伝統があり、風習があり、歴史があります。
それを守っていくのが、本来であれば「日本の保守」のはずです。
 
まず、日本は欧米基準に照らし合わせれば「左翼的」と自覚する事から我々は始めなければなりません。
 
 
アメリカで、政治的立ち位置を知らべる事が出来るサイトとしてこのような物があります。
 
 
日本語訳としてはこういう所があります。
一度やってみると良いと思います。
多くの日本人は「リベラル・経済左派」になると思われます。
私の場合は、限りなく中道に近い保守で、重度の経済左派でした。
 
ここを調べれば、日本人の感覚がアメリカ人の基準から見れば「左翼」と見なされる事が解るはずです。
 
しっかりと自覚した上で、欧米基準と異なるからと言って何が問題なのかと問いかける姿勢が必要です。
 
誠眞政治政策研究会 玉川 晃嗣