今の日本は「不足」を越えた国であり存立出来ない状態である

「不足」という言葉を皆さまは当然聞いた事があると思います。
 
『1 足りないこと。十分でないこと。また、その箇所や、そのさま。
 
2 満足でないこと。また、そのさま。不満。』
 
この国語辞書の定義でも充分なのですが、
ここは一つ、「不足」という言葉の原義から始めようと思います。
 
日本の江戸時代の侍が必ず読んだ文献の一つに、『礼記という書物が有ります。
 
 
儒教の経典の一つであり、「四書五経」と言った場合の「五経の一つです。
「不足」という言葉は、この『礼記』に出てくるのです。
その中にこう書いてあります。
 
『国に九年分の食糧の蓄えの無いのを「不足」と言う。
六年分の蓄えの無いのを「急」(危険)と言う。
三年の蓄えの無いのは、その国は本当の国ではないと言う』
(『礼記』王制篇)
 
今の日本には、果たして『九年分の食料の蓄え』など有るでしょうか?
九年どころか、たった一年外国から食料の輸入が出来なければ大量に餓死する国が日本です。
礼記』の記述に従えば、日本は国家としての体を成していません。
 
一応日本政府の現在の目標としては、「百万トンの食料備蓄」を掲げているそうです。
しかしながら、この目標、この十年間に限って調べても達成された試しがありません。
自民党政権は農家から市場価格よりも安く買い叩こうとするので売り渋りが起こりますし、
(なお、この時の日本は【第一次安倍政権】の統治下です)
 
民主党政権民主党政権で、農業政策でも余計な事しかやらず、
しかもその上失敗したからです。
 
更に言うならば、「百万トンの食料」を仮に日本国が保有出来たとしても、
「1年」どころか「1ヶ月」の日本人の食料需要を満たすだけに過ぎません。
 
日本の近隣諸国は、いつ、何どき日本侵略を決行するか解りません。
直接的に日本侵略せずとも、いつまた南シナ海ベトナムやフィリピンを中国が侵略するか知れません。
中国占領下のスプラトリー諸島(南沙諸島)にはどんどん軍事基地が建てられており、
いずれはあそこを根城にシーレーン破壊に乗り出すかも知れません
 
また戦争など起こらずとも、世界的に凶作になる可能性もあります。
地球温暖化問題は盛んに叫ばれますが、
地球環境が変われば農作物の収穫だって変わってくるでしょう。
 
ここでは人間の生死に関わる農作物の話だけ取り上げましたが、
礼記』の時代はガソリンや工業資源、兵器の弾薬など考えずとも良かったものでした。
今の日本では、これらの物資の備蓄すら不安がある状態です。
 
日本人の生死に関わる必要物資や、
日本の工業生産に必要な物資などは、
最低でも「十年分の備蓄」は用意しておきたいものです。
日本国が独立した主権国家として胸を張りたいならば、
外国からの輸入によって立場が左右されるような事があってはなりません。
 
誠眞政治政策研究会 玉川 晃嗣